幸せにまつわる5つの迷信──逃さない人の知恵とは?
幸せはつかまえがたいものですよね。自己啓発本やインフルエンザーの言葉がぐっとくることもありますが、そんな確実ならば苦労しません。
幸せにまつわる迷信がたくさん
「幸せはすぐに逃げていきがち。だれかが幸せになると、別のだれかが不幸になったりもします」と、ジョンズホプキンス大学医学部、神経科学の教授で、『手触り~手・感情・精神の科学~(Touch: The Science of Hand, Heart, and Mind)』の著者、デイビッド・リンデンさん。 幸せにまつわる深イイ話は星の数ほどありますが、常識と思われているなかにも迷信があります。科学的な研究成果に基づいて斬ってみましょう。
迷信1 : 幸せはお金で買えない
お金がたんまりあるからといって必ずしも幸せは約束されないのですが、宝くじに当たったら別。まずは時間を節約する目的で使えば、ある意味、幸せはお金で買えます。「衣食住などの基本的なものが満たされた後は、家政婦や庭師のような時間を節約できることにお金を使えれば、より幸せになれるんですよ」とハーバード大学ビジネススクール准教授のアシュレー・ウィリアムズさん。
アシュレーさんが手がけた研究によると、4000円を衣類につかったときと、家政婦のような時間を節約できるサービスにつかったときを比べると、時間節約につながるサービスを買った方が精神的な安定につながって、時間に関連したストレスが解消されるとわかったとのこと。
迷信 2 : 幸せな人は長生きする
ハッピーだからといって長生きできるわけではありません。「健康だけど不幸だと話している人、幸せだと言っている人。比べても死亡リスクは同じ」と、医学雑誌『ランセット』掲載の研究は結論を出しています。もっともハッピーと思っている人が悪いわけではありません。ポジティブだと糖尿病のような病気の治療がスムーズにいくということも研究でわかっているからです。
迷信3 : 幸せを追うともっとハッピーに
そうとは限らないのがやはり難しいところ。「ハッピーを追求すると、むしろブルーになる」というが医学雑誌『エモーション』の最新研究の結論。「ハッピーに感じることは究極的な大切なこと」という考え方にどれくらい同意できるかを質問したうえで、ストレスを感じた出来事を日記につけてもらい、そのときにうれしかったか、悲しかったかなど感情も記録してもらいました。「ハッピーに感じるのはとても大事」と答えた人の方がストレスを感じたときに孤独を感じやすかったのです。
「幸せも限度があるってこと。ハッピーでなければ……とか思っていると逆に負担になってしまうのです」(ジョンズホプキンス大学のリンデンさん)。2012年のオーストラリアの研究によると、ポジティブな姿勢をもてはやす風潮はかえって人々をネガティブにしてしまうという報告も。
迷信4 : 選択肢が増えることでより幸せになる
アマゾンで商品の多さに圧倒されて選べない。そう感じたならば、「選択肢の過多」(研究者バリー・シュワルツさん)の問題がわかるはず。かえって疲れてしまって、楽しくなくなってしまうんです。
たとえば、いろいろな種類の「確定拠出型年金の401Kファンド」を提示された従業員の行動を調べた研究があります。選択肢が一番多いものを選んだ人が、一番少ないという結果に。逆に好まれたのは、選択肢の限られたもの。憂鬱から陽気に変える数字とは? 「3~5の選択肢ぐらいがハッピーの目安」とリンデンさん。
迷信5 : ソーシャルメディアで“友達”の多い人は幸せ
「フェイスブックで生活が充実している人を見ると、ちっぽけな自分と比べてしまい落ち込む?」とデンマークのコペンハーゲン大学の研究者モルテン・トロムホルトさん。
トロムホルトさんは、フェイスブックを利用するふたつのグループを分析しました。ひとつ目のグループはSNSを1週間休んでもらって、もうひとつのグループは自由に投稿をチェック。結果として、「フェイスブックを控えたグループの方が、普通に使っていたグループよりもよりハッピーで、ストレスも少なく感じていました」(トロムホルトさん)
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