体重を減らすのは並大抵のことじゃない。日課、食習慣、はたまた人付き合いすら変えることも必要。早く体重を落としたくて、「正しく食べ、運動せよ」という正統派のアドバイスは敬遠してしまいがちです。
「体重を減らす方法」でネット検索をすると、ジョギングとサラダのコツコツとした努力の代わりの手っ取り速い近道がごまんとある…。でもそれは効果があるのでしょうか? 科学からすれば「ノー」のはず。体重を減らす魔法なんてありません。
気まぐれで付け焼刃のダイエットを選ぶと、運動する気力をなくし、免疫力を下げ、ダイエット計画を脱線させることに。新陳代謝は遅くなり、ゆくゆく体重を減らすのが難しくなります。
結論的には、努力するほかないってこと。しかしグッドニュースも。やれることはまだまだあるのです。
ここではあなたを邪魔してきた5つのダイエットの迷信をご紹介。そして、研究に裏付けされた”ウラ技”を代わりに試してみて!
迷信1:デトックスは身体にとても良い
私たちがさらされている有害物質(例えばプラスチックに含まれるBPA)が肥満や糖尿病などの病気と関係があると示している研究はあります。でも一方でお茶やジュース、特別なダイエット食のような市販のデトックス商品が体内を浄化するというエビデンスもありません。
デトックスは全能かといえば、身体にある自然のフィルターは、肝臓と腎臓。一方で、特別な解毒成分が、消化管から筋肉、脂肪、皮膚まで旅してアルコールや薬物のような毒素を探し、身体から洗い流してくれるというのは迷信です。
さらに、多くのデトックス法はきついカロリー制限をともなうこともあって、ウエストラインにとってはバッドニュース。身体が空腹を感じているとき新陳代謝のスピードは遅くなってしまい、普通に食事をし始めた時もそのゆっくりしたスピードはしっかり持続。減らした体重を取り戻そうとしてしまうんです。
【TRY ウラ技】
自然なデトックス経路としてベストな方法は食事。まず十分な水を飲むこと。それは腎臓が不必要な化学物質をきちんと流し出してくれるから。その上で、大好きな厚切り肉を食べる時などには、豆やレンズ豆のような植物性たんぱく質も追加。肝臓の働きを支えてくれるんです。1日少なくとも5種類のカラフルな野菜と果物もおすすめ。抗酸化作用が高く、不必要な物質を処理するのを助けてくれます。
迷信2:どの食品から取ってもカロリーはカロリー
体重を減らそうとする時、全ての食べ物をまんべんなく減らして、カロリーを減らすって、本当でしょうか?
いいえ。体重を減らすことを考えると、全ての食品のカロリーを同じようにとらえることはできません。ブロッコリー、ナッツやレンズ豆のような高食物繊維でたんぱく質を含んだ食品のカロリーは代謝を加速。これらに加え、ミルクや穀物全般のような低GI値の炭水化物は満腹状態を持続させるので、次の食事での食べ過ぎを防いでくれます。
良い例として:一つかみのアーモンドをとって、スナック袋の18枚のポテトチップスと比べてください。どちらも約160キロカロリーですが、アーモンドはポテトチップスよりも空腹を満足させてくれる。たんぱく質と食物繊維を含むおかげです。
【TRY ウラ技】
炭水化物、たんぱく質、脂肪、食物繊維をすべての食事と軽食に含むようにしましょう。2時の軽食として炭水化物と食物繊維を含むリンゴを食べるとしたときには、たんぱく質と脂質も取るために、スプーン1杯のピーナツバターも加えたりします。食物繊維とたんぱく質を取ると、食べ物が腸を通る時間を延ばしてくれるので、身体はより効果的に栄養分を吸収できるんです。
迷信3:”クリーンな食事 “は健康にもいい
ここで言う”クリーンな食事”としては、自然食品のみを食べて、砂糖や塩の多く入った加工食品を拒絶するというのが典型的なケース。悪いことではありませんし、クリーンな食事の原理からすれば健康に良いとは言えるかもしれません。
でも、多くの疑問符も。五大栄養素を取るというルールに従って、そのほかの要素を排除するなら、食事が粉のプロテインや凍った野菜をはさんだバーガーなんていう風に。こんな制限は逆効果。食べないと誓った食べ物がむしろ恋しくなって、むさぼり食べてしまう恐れも。
というのも、脳の中枢のせいもあって、毎晩でも一皿のアイスクリームを食べられるようになっているから。アルコールやドラッグの虜になるように砂糖をほしがってしまうんです。もしアイスクリームを食べてはいけないと自分に言い聞かせても、一度脳が最高だと思えば、結局それに熱中してしまう。この制限と熱中のパターンは、体重を増やす王道なんです。
【TRY ウラ技】
悪い習慣にさよならするために、「25%を減らすこと」を毎週心がけてみては? 4かけらのチョコレートと1杯の牛乳で一日を終えているなら、毎週1かけら減らしてみる。
ゆっくりしたプロセスなら、食べ過ぎをおさえて、ダイエットの不満もつのりにくくなるはず。好きな食べ物だけはやっぱり食べたいというときも、ゆるやかなペースのダイエットは役に立つはず。お昼時、どうしても好きなチョコがあるなら2かけらを、まるまる1本のアイスのかわりに食べるという感じです。
迷信4:やせるためにすべての炭水化物を控えるべき
まず低炭水化物ダイエットをやると、体重は減るはず。炭水化物を制限していると、エネルギーのストックを使っていくのですが、脂肪よりも水分が多く失われるんです。普通の食事に戻すと、すぐに体重は元に戻ってしまう。
筋肉のストックに手を出すんです。燃料の不足を補うときに、たんぱく質をブドウ糖に換えて。たんぱく質がエネルギーに変換されていき、たんぱく質の蓄積と維持が優先されなくなる。実際に筋肉の量が減るんです。筋肉を失うと、新陳代謝が落ちてしまって、体重を減らしたり、体重をキープしたりすることがますます困難に。
もっともクラッカーやクッキーのような、精製された小麦粉のような原料からできた炭水化物を減らすのは悪くはありません。カロリーの割に栄養がほとんどなからです。生成された小麦粉のかわりに、全粒粉にすると体重が徐々に減るという研究もあります。
【TRY ウラ技】
野菜をとるのです。栄養豊富な炭水化物といえるから。さらに、穀物を食べるなら、全粒粉にこだわること。お皿には、まず半分は野菜で埋める。そして残り半分は全粒の穀物とたんぱく質で埋めていく。この割合ならば食事の満足感も続くはずです。
迷信5:グルテンフリーはすべての人に良い
グルテンフリーのライフスタイルは、「やせるし、健康にもいいすばらしい方法」という誤解。グルテンは、小麦、ライ麦、大麦の中のたんぱく質ですが、「セリアック病」「小麦アレルギー」「非セリアック・グルテン不耐性」と診断される2%のアメリカ人にだけ問題となるものなのです。
専門の診断なしでグルテンを除去することは、ビタミンDとビタミンB12に加えて、カルシウムの欠乏を引き起こすことも。
なぜ、グルテンフリーはダイエットの方法としてウケがいいのか? やるべきなのは、パイやケーキのような精製加工された炭水化物を、キノアや玄米のような野菜や全粒粉の穀物に換えて、食物繊維を増やすこと。食事にも満足できるようになるし、食べる量も減らせるはず。
グルテンフリーのクッキーもクッキーであることには違いなく、誤解したままグルテンフリーの食事を続けていれば、むしろ体重が増えていくことも。
【TRY ウラ技】
グルテンを避ける前にあなたが食べている炭水化物のタイプを変えること。サンドイッチを白いパンで食べているなら、1枚しかパンを乗せないオープンサンドイッチか、全粒粉のパンにする。自分がグルテンに過敏なのではと思うなら、グルテンフリーを試す前に主治医、できれば消化器科に相談してみてください。
コメント