脳研究者が教える、悩み事を減らすリフレーミングの方法

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仕事のこと、家庭のこと、健康のこと、将来のこと……どうしてこんなに悩みは尽きないのでしょう。もはや「悩みが多いことに悩んでいる」という手におえない状態。そんな悩みを解消するには、脳の習性を知ることがひとつの方法になるようです。

悩みは脳が作り出している

悩みが生まれる理由は、「ヒトには脳があるから」だと教えてくれるのは、脳研究者池谷裕二先生

人間は、脳があるから優れた生物だと思われているかもしれませんが、実は違います。地球上の生物の総重量を100としたとき、実に99.9%が脳を持たない生物。それは、脳がなくても生きていけることの証明なのです。

(「太陽笑顔fufufu」より引用)

高度な機能を持ち、人間のすべての活動をコントロールする脳。脳があるから知恵に富んだ動物としてたくさんの技術を手にできたのだと思っていましたが、実は、人間は脳の機能をほとんど使いこなせていないのだそう。もしも使いこなせていたら、超音波でコミュニケーションができるくらいの性能があるというから驚きです。

脳が人間の身体に収まっている以上、悩みはさまざまに生まれます。ただ、減らすことはできます。それにはリフレーミングという方法が有効。これは、脳研究者や物理学者が壁にぶつかったときなどによくやっている方法で、今までものごとを捉えていたフレームを変え、新たなフレームで見るというものです。つまり、視点を変えること。リフレーミングは、悩みの解消にもつながり、ココロの健康にとても大切だと言われているのですよ。

(「太陽笑顔fufufu」より引用)

なるべく毎日ごきげんに生きるために、脳科学的なフレームでものごとを見る方法を教えてもらいました。

視点を変えることで悩みを減らすことができる


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・昔に比べてもの覚えが悪くなった

「それは『覚えられない』のではなく、『覚える必要がない』と脳が判断しているからです。年齢を重ね、経験が増えると、情報の取捨選択が上手になります。本当は、覚える必要がなかったのではないですか? 好きなこと、興味があること、わくわくするという感情を伴うものなら、いくつになっても記憶ができるのです。『若い人はいいわね、すぐに覚えられて』なんて言うと、脳が悲しみますよ」(池谷先生)

・平凡な自分がイヤ。才能のある人がうらやましい

「一流のスポーツ選手も芸術家も、天才と呼ばれる人たちは、優れた才能を持ったがゆえに孤立することが多い。ひとつのことを極めるために、数多くの幸せを手放しているとも言えます。天才は、いわば切り立った山。高い部分もあり、裾野も広げられるのが普通(平凡)であることの恵みだと思います。さまざまな経験を通じて、知恵を増やしていくことが裾野を広げることにつながります」(池谷先生)

・将来も幸せでいられるのか? それを考えると不安

「幸せを追い求めるのもまた、人間だけです。そもそも、幸せって何でしょうか? 脳を持たない生物には、幸せという概念はありません。そういった生物が地球上の99.9%を占めているわけですから、幸せは架空の価値だと言えるかもしれませんね」(池谷先生)

脳科学的には、悩みも喜びも、顕微鏡で見られるただの電気活動。それによっていちいち心を乱されて頭を抱えているのかと思うと、なんだか拍子抜けしてしまいます。さらに、「よりよく生きるには、よい経験を積んで、反射力を鍛えること」と池谷先生。私たちの言動は、脳の反射力によって出力されているもの。反射力は、五感を介したリアルな経験で鍛えられるのだとか。

反射力を鍛えるとは、引き出しを増やすことなのかもしれません。何が起こるかわからないと未来を憂うよりも、とにかく今、いい経験を積み重ねていくことの方が大切なんだと気づかされました。

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